ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?子どもへの効果や具体例・ゲームを解説

ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?子どもへの効果や具体例・ゲームを解説

はじめに

お子さまの様子を見ていて、

「友達との関わりが苦手」
「自分の気持ちをうまく伝えられない」
「順番を待つことが難しい」
「負けると気持ちを切り替えられない」
「集団の中でどう行動すればいいかわからない」

と感じることはありませんか?

このような人との関わりや社会生活に必要な力を身につけるための支援の一つが、ソーシャルスキルトレーニングです。

一般的には、Social Skills Trainingの頭文字を取ってSSTと呼ばれています。

SSTでは、ただルールを教えるだけではなく、ゲームやロールプレイ、集団活動などを通して、実際の生活の中で使えるコミュニケーションや社会性を少しずつ経験していきます。

この記事では、SSTとは何か、どんな子どもに向いているのか、具体的なトレーニングやゲームの例、家庭でできるSSTについてわかりやすく解説します。


ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?

ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは、人との関わりや社会生活の中で必要となるスキルを学び、実際の場面で使えるように練習していく方法です。

ソーシャルスキルには、例えば、

  • あいさつをする
  • 順番を待つ
  • 相手の話を聞く
  • 自分の気持ちを伝える
  • 人にお願いする
  • 断る
  • ルールを守る
  • 困ったときに助けを求める
  • 相手の気持ちを考える
  • 気持ちを切り替える

などがあります。

大人にとっては当たり前に感じる行動でも、お子さまによっては、

「この場面ではどうすればいいの?」

とわからなくなることがあります。

そこで、具体的な場面を想定して練習したり、実際の活動の中で経験したりするのがSSTです。


SSTはどんな子どもに向いている?

SSTは特定の診断名があるお子さまだけを対象にしたものではありません。

例えば、

  • 友達にどう声をかければいいかわからない
  • 遊びに入りたいけれど入り方がわからない
  • 自分の気持ちを言葉にすることが苦手
  • 相手の気持ちを読み取ることが難しい
  • 順番を待つことが苦手
  • 勝ち負けで気持ちが大きく乱れる
  • ルールを理解することが難しい
  • 困ったときに助けを求められない
  • 集団活動への参加が苦手

など、人との関わりや集団生活の中で困ることがある場合に取り入れられることがあります。

大切なのは、お子さまを周囲に合わせることだけを目的にしないことです。

お子さま本人が困っている場面を少しずつ減らし、安心して人と関われる方法を一緒に見つけていきます。


SSTで身につける力

コミュニケーション力

SSTでは、自分の気持ちや希望を相手に伝える練習を行います。

例えば、

  • 貸して
  • ありがとう
  • 一緒にやろう
  • 入れて
  • 手伝って
  • わからない
  • やめてほしい

など、実際の生活で使う言葉を練習します。

言葉を知っていても、必要な場面ですぐに使えるとは限りません。

実際の状況に近い形で繰り返し経験することで、少しずつ使いやすくしていきます。


相手の気持ちを考える力

友達との関わりでは、自分の気持ちだけではなく相手の気持ちを考える場面もあります。

例えば、

友達が使っているおもちゃを突然取ったらどう感じるだろう?

負けた友達にどんな言葉をかけたらいいだろう?

困っている友達がいたらどうしたらいいだろう?

といった場面について考えます。

イラストや場面カードなどを使うことで、目に見えない気持ちについて考えやすくなる場合があります。


ルールを理解する力

学校や社会生活では、さまざまなルールがあります。

例えば、

  • 順番を待つ
  • 人の話を聞く
  • 決められた時間を守る
  • ゲームのルールを守る
  • 公共の場所での約束を守る

などです。

SSTでは、言葉だけで説明するのではなく、ゲームや活動の中で実際に経験していきます。


気持ちを伝える力

怒ったり悲しくなったりしたときに、自分の気持ちをうまく伝えられないことがあります。

そんなときに、

「嫌だった」

「悔しい」

「少し休みたい」

「手伝ってほしい」

など、自分の状態を相手へ伝える方法を練習します。

気持ちそのものを否定するのではなく、その気持ちをどう伝えるかを一緒に考えていきます。


気持ちを切り替える力

ゲームに負けたときや、自分の思い通りにならなかったときなど、気持ちの切り替えが難しいこともあります。

例えば、

  • 深呼吸する
  • 少しその場から離れる
  • 気持ちを言葉にする
  • スタッフへ助けを求める
  • 落ち着ける場所へ移動する

など、お子さまに合った方法を一緒に探します。

一つの方法を全員に当てはめるのではなく、その子が実際に使いやすい方法を見つけることが大切です。


子ども向けSSTの具体例

ロールプレイ

ロールプレイとは、実際に起こりそうな場面を再現して練習する方法です。

例えば、

「友達が使っているおもちゃを借りたい」

という場面なら、

友達役

貸してと伝える

相手が返事をする

その後どうするか考える

というように実際にやってみます。

ほかにも、

  • 遊びに入れてほしい
  • 断られた
  • 友達と意見が違った
  • 困ったことが起きた
  • 先生に助けてほしい
  • 自分の気持ちを伝えたい

など、日常生活で起こりやすい場面を練習できます。


場面カード

イラストなどを見ながら、

「この子はどんな気持ちかな?」

「次はどうしたらいいかな?」

「自分だったら何と言う?」

と考える方法です。

実際にトラブルが起きている最中ではなく、落ち着いた状態で考えられることがメリットです。


SSTゲーム

子どものSSTでは、ゲームを使うこともあります。

遊びながら自然に、

  • 順番を待つ
  • 相手の話を聞く
  • ルールを守る
  • 勝ち負けを経験する
  • 人と協力する
  • 自分の考えを伝える

といった経験ができます。


SSTで使えるゲームの例

伝言ゲーム

一人から次の人へ言葉を伝えていくゲームです。

相手の話をよく聞くことや、聞いた内容を相手へ伝える経験につながります。


ジェスチャーゲーム

言葉を使わず、身体の動きだけで相手に伝えます。

相手が何を伝えようとしているのか考えることや、自分なりに表現する経験につながります。


協力ゲーム

一人で勝つことを目的にするのではなく、みんなで一つの目標を達成するゲームです。

例えば、グループで作品を完成させたり、協力して課題をクリアしたりします。

役割分担や相談、相手を待つことなどを経験できます。


すごろく

順番を待つ、ルールを守る、勝ち負けを経験するといった要素が自然に含まれています。

質問を書いたマスなどを作れば、

「最近うれしかったことは?」

「友達に言われてうれしい言葉は?」

など、コミュニケーションの練習にも応用できます。


言葉探しゲーム

テーマに合った言葉を考えるゲームです。

例えば、

「ありがとうを伝える場面」

「困ったときに使える言葉」

「友達を誘う言葉」

などを考えます。

遊びながら、実際の生活で使える言葉の選択肢を増やすことができます。


年齢に合わせたSSTの例

未就学児のSST

未就学の時期では、遊びを中心にしたシンプルな活動から始めることがあります。

例えば、

  • あいさつする
  • 名前を呼ぶ
  • 順番を待つ
  • 貸してと伝える
  • ありがとうを伝える
  • 一緒に遊ぶ

などです。

長い説明をするよりも、実際に遊びながら経験することが大切です。


小学生のSST

小学生になると、学校生活で人との関わりが増えていきます。

例えば、

  • 友達を遊びに誘う
  • 仲間に入れてもらう
  • 断られたときに対応する
  • 相手と意見が違うときに話し合う
  • 困ったときに先生へ相談する
  • 勝ち負けを受け入れる

など、学校生活で起こりやすい場面を取り上げることができます。


中学生・高校生のSST

年齢が上がるにつれて、人間関係や社会生活も複雑になっていきます。

例えば、

  • 相手との適切な距離感
  • 場面に合った言葉遣い
  • 自分の意見を伝える
  • 相手と意見を調整する
  • 困ったときに相談する
  • 自分の得意・不得意を理解する
  • 社会生活で必要なコミュニケーション

など、将来の生活を意識したテーマを取り入れることもあります。


放課後等デイサービスでSSTを行うメリット

実際の人間関係の中で経験できる

SSTは方法を知るだけではなく、実際の場面で使えることが大切です。

放課後等デイサービスでは、スタッフだけでなく他のお子さまと一緒に活動する機会があります。

その中で、

「貸してと言えた」

「順番を待てた」

「困ったときに助けを求められた」

など、実際の経験につなげることができます。


日常の出来事をそのまま支援につなげられる

例えばゲームで負けて悔しくなったとき。

それもSSTにつながる経験の一つです。

その場でスタッフと、

「今どんな気持ち?」

「どうしたら少し落ち着けそう?」

「次はどうしてみよう?」

と一緒に考えることができます。

練習だけではなく、実際に起きた出来事から学べることも放課後等デイサービスで取り組むメリットです。


一人ひとりに合わせて練習できる

人との関わりで困る場面は、お子さまによって違います。

話しかけることが苦手な子もいれば、話しすぎてしまう子もいます。

順番を待つことが難しい子もいれば、自分の意見を言えずに我慢してしまう子もいます。

そのためSSTでは、

「みんな同じコミュニケーションを身につける」

のではなく、一人ひとりが実際に困っていることに合わせて支援していくことが大切です。


SSTで大切なのは正解を覚えることではない

SSTという言葉から、

「正しい行動を覚えさせるトレーニング」

というイメージを持つ方もいるかもしれません。

しかし、人との関わりには必ず一つの正解があるわけではありません。

同じ場面でも、相手や状況によって適切な伝え方は変わります。

そのため、

「こうしなければいけない」

と教えるだけではなく、

「こんな方法もある」

「こんな伝え方もできる」

と選択肢を増やしていくことが大切です。


家庭でできるSST

具体的な言葉で伝える

例えば、

「ちゃんとして」

だけでは、何をすればいいのかわからないことがあります。

その場合は、

「順番を待とう」

「終わったらありがとうって伝えよう」

「困ったら教えてね」

など、具体的に伝えてみましょう。


できた瞬間を認める

できなかったことだけに注目するのではなく、できた瞬間を見つけることも大切です。

例えば、

「今、自分から貸してって言えたね」

「順番を待てたね」

「嫌だったって伝えられたね」

などです。

自分ができたことを理解することで、次の場面でもその行動を使いやすくなります。


日常の出来事について一緒に考える

友達との出来事があったときに、

「なんでそんなことしたの?」

と問い詰めるだけではなく、

「そのときどんな気持ちだった?」

「どうしたかった?」

「次に同じことがあったらどうしてみよう?」

と一緒に考えることもできます。

家庭で特別なトレーニング時間を作らなくても、日常生活そのものを学びの機会にすることができます。


事前に練習しておく

初めての場所や活動では、どう行動すればいいかわからず不安になることがあります。

例えば、

「着いたらまずあいさつしよう」

「わからなかったら先生に聞いてみよう」

「嫌になったら休みたいって伝えよう」

など、事前に確認しておくことで安心につながることがあります。


SSTはすぐに効果が出るもの?

SSTを始めたからといって、すぐにすべてのコミュニケーションがうまくいくようになるわけではありません。

練習ではできても、学校や家庭など実際の場面では使えないこともあります。

そのため、

知る

練習する

実際に使ってみる

振り返る

また挑戦する

という経験を繰り返していくことが大切です。

一度でできたかどうかだけではなく、小さな変化や成功体験を積み重ねていきましょう。


SSTを受けられる場所は?

SSTは、

  • 児童発達支援
  • 放課後等デイサービス
  • 医療機関
  • 教育機関
  • その他の支援機関

などで取り入れられることがあります。

ただし、SSTという名称を使っていても、具体的な支援内容や方法は施設によって異なります。

利用を検討する場合は、

  • どのようなSSTを行っているか
  • 個別と集団のどちらで行うか
  • どんな活動を取り入れているか
  • お子さまの困りごとに合わせてもらえるか
  • 家庭へのフィードバックがあるか

などを確認してみましょう。


まとめ

ソーシャルスキルトレーニング(SST)は、人との関わりや社会生活に必要な力を身につけるための支援です。

あいさつや順番を待つといった基本的なことから、自分の気持ちを伝える、助けを求める、相手の気持ちを考える、気持ちを切り替えるなど、さまざまなテーマがあります。

そしてSSTで大切なのは、正しい行動を一方的に覚えさせることではありません。

ゲームやロールプレイ、日常の活動を通じて、

「こんな伝え方もある」

「こうすれば助けてもらえる」

「自分にもできた」

という経験を少しずつ増やしていくことが大切です。

お子さま一人ひとりのペースに合わせながら、実際の生活で使える力につなげていきましょう。


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みらいベースでは、お子さま一人ひとりの得意なことや興味を大切にしながら、さまざまな活動を通して成長を支援しています。

スポーツ・スタディ・クッキング・造形・アートなどの活動では、技術を身につけることだけでなく、友達と協力する、順番を待つ、自分の気持ちを伝える、最後まで挑戦するといったさまざまな経験につなげています。

お子さまのコミュニケーションや集団生活について気になることがある方、名古屋市で児童発達支援・放課後等デイサービスをお探しの方は、見学や利用についてお気軽にご相談ください。

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